わきの皮膚をしわに沿って数センチ切開し、皮膚の裏側にあるアポクリン汗腺を完全に削り取る手術です。
切開手術(剪除法)
切開手術(剪除法)による治療
手術は脇の下を4cm程度切開し、皮膚の裏側にあるアポクリン汗腺、エクリン汗腺、皮膚線を除去する手術です。
最終的に医師が直接目で見て汗腺を細かく取り除き終了です。
傷跡も小さく、再発の心配がありません。
約80%の汗腺除去が可能とされており、わきが・多汗症のどちらの症状も軽減され、日常生活を快適に過ごせる状態になります。
手術を希望される患者様が来院されて、一番最初に驚かれることが多いのは「片ワキずつ」の手術という説明を受けられた際です。
後ほど詳細に手術の流れについて説明いたしますが、術後の数日間を安静に過ごせるなら一度に手術をすることも可能です。
しかし、安全を重視し良好な経過を得るための最善策はやはり片ワキずつの手術となります。
■ 手術の流れについて
切開
手術は前述した皮膚の裏側にあるアポクリン腺を実際に目で見ながら少しずつ除去していくことで行います。
術者の目で見て、実際に触れて、少しずつ丁寧に摘み取っていきますので時間は60分程度を要するのが普通ですが、アポクリン汗腺の極端に多い人の場合では更にもう少しの時間を要することになります。
これが剪除法(せんじょ法)と呼ばれる術式です。
【写真右】ワキの中央部分に切開線を入れたところ。
切除
また、他の術式では吸引法や超音波法の名前もよく聞きます。
しかしこれらの術式ではやはり目で確認を行わずにアポクリン腺の除去を行う訳ですから、不完全な部分があると1年程度で再発してしまい、匂いが気になることが多々ある訳です。
吸引法や超音波法で施術を受けられた方が「まだ匂いが気になる!」と訴えて来院されることが未だに多いのはこのためです。
何度も中途半端なことをするなら一度で済ましてしまう事が賢明だと当院では考えます。
【写真右】皮膚の裏に付いたアポクリン腺を切除します。
縫合
術後にはドレーンと呼ばれる小さくて柔らかいストローのようなものをワキの傷口に挿入します。そうしておくと傷口に血が溜まらずに創部の治癒を促進します。
ドレーンからは血液がでてきますので、それを受け取ってやる(吸い取ってやる)ものが必要となります。
みかん程度の大きさにガーゼをボール状に丸めドレーンにあてがってやるのです。また、皮膚がかなり薄くなっていますのでそのガーゼごと包帯で圧迫してやることになりますが、そうすると上腕がしばらく動かしにくい状態が続きます。
両ワキを一度に手術すると手が使いにくく、顔を洗ったり服の着替えがスムーズに出来なくなることになるのです。
また、仮に転んでしまった場合、両手で体を支えてしまうことになるでしょうが傷口には非常にダメージを与えてしまうことになります。
これらの事から手術は「片ワキずつ」とするのが理想なのです。
完了
傷についてはワキにあるシワに並行に切開を行い、形成外科的手技でもって丁寧に縫合されますから非常に細い線となり、ほとんど気になる事はありません。
但し、傷が判らなくなるまでには約半年を要します。
術後の患者さん自身のケアの怠りで傷が目立ってしまった場合でもケースに応じて傷痕の修正手術も可能です。(他院手術の傷痕の修正についてもご相談下さい。)