切らずに医療用の糸で上まぶたの皮膚の二重希望ラインと眼瞼挙筋または瞼板を留めて二重まぶたにする治療方法です。
二重術 埋没法
二重術 埋没法
髪の毛よりも細い糸を使用し、まぶたの2~4箇所を結びつけ、簡単に自然な二重のラインを作ることができ、魅力的な目元になる施術方法です。
施術時間も約10分間程度で行え、注射する麻酔の量が少なく、手術終了後の腫れはわずかです。
手術後、眼瞼にむくみが生じますが 腫れなど3日後には落ち着いてきます。
一重を二重にする、又、二重の幅を広げたいという方にお勧めです。
手術の詳細
まぶたの自然なラインに沿って二重を作る場合には2点留めで十分です。
まぶたの自然なラインから外れて、平行型や末広型のデザインの二重を作りたいときは、4点留めで目尻や目頭のラインをしっかりと固定する必要があります。
■ 埋没法 2点留め
希望する二重をシミュレーションできましたら、ブジーをあてている線をペンでマークします。
埋没法2点留めでは、デザインした重瞼線(二重の線)を3等分するように2点をマークします。
7-0ナイロン糸をまぶたの中に埋まるようにループ状に通して、2点を固定します。
※7-0ナイロン糸とは、皮膚を縫合するのに使用されるナイロンの糸で、形成外科では5-0から7-0という太さのものを使用します。5-0は太目の髪の毛程度の太さで、6-0は細めの髪の毛程度、7-0になると髪の毛より細くなります。
メリット | まぶたの自然なラインに沿って作る2点留めは、4点留めに比べ「腫れ」や「むくみ」が少なくてすみますし料金もリーズナブルです。 |
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デメリット | まぶたの中央に二重のラインを強調しますので、目頭・目尻のラインのコントロールが難しくなります。 |
■ 埋没法 4点留め
目頭側の二重の幅を広くして平行型のラインを作りたい方や、上まぶたの皮膚にたるみがあるため目尻側の二重が隠れる方、以前に埋没法2点留めでつくった二重が消えてしまった方には、固定力の強い4点留めが適しています。
埋没法 4点留めではデザインした重瞼線を5等分するように4点をマークします。2本の糸をループ状に埋没させて4点を固定します。
メリット | 4点留めはまぶたの外側、内側のラインをしっかり留められますので目頭、目尻のラインのコントロールが可能になります。 また、自然なシワではなく、無理に並行型の二重を作る場合はやはり4点留めが好ましいといえます。 |
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デメリット | 2点留めに比べ、術後の腫れが強い傾向にあります。 |
■ ラインの種類
二重まぶたといってもその種類は様々です。
人と同じラインにしたからと言ってそれがその人に似合う二重だ、ということはまずないでしょう。
人それぞれに顔の輪郭だけでなく、目・鼻・口とのバランスも違うわけですからどういう形が一番自然でさりげないのかをよく考えなくてはなりません。
もちろん希望もおありでしょうからそれを優先はしますが、希望を優先する事でどんなデメリットがあるか、最も自然なラインの提案をしながら一緒に考えていただきます。
若年者の方で一番多いリクエストは「二重の幅をかなり広くとってほしい」という注文です。しかし、埋没法では年月が経ってから糸が緩みやすくなる可能性があります。
好みはいずれ変わりますので「より自然に」というこだわりをもって欲しいと思います。
「(いかにも)作ったような」ラインはあとあと後悔の元となるはずです。
瞼が腫れぼったい方や、目がよく浮腫む人、埋没法では糸がすぐに緩んで二重のラインがはっきりしない方では埋没法の糸の留める位置部分だけに切り込みを入れる小切開法や、全切開法をお勧めします。ただし、その場合は埋没法とは違い、縫合処置がありますので抜糸までの数日間は瞼に糸がついたままです。
気軽に人目を気にせずにできる埋没法と同様にはいきませんので、お休みが取れる時に施術を行うことが賢明でしょう。
手術について
■ 「点」と「線」の違い
二重まぶた埋没法を希望の患者様のカウンセリングをしているとよく、「埋没法には瞼板法と挙筋法があるけど、どちらが良いのですか?」と御質問いただきます。
「瞼板法」は、いわゆる「点」で糸を留める方法で、瞼のすぐ裏側部分(瞼板)に糸を1~2箇所掛けるものです。
これに対して、「挙筋法」は、瞼を見開く際に使う筋肉(眼瞼挙筋)に「線」で留め、糸を掛けます。
これは点で留める方法と違い、点と点の間の数ミリ部分全体に糸を通すもので本来の二重の構造と同じものとなります。
当院では、原則として瞼板法で行っています。その理由として、
■ 挙筋法に比べて術後の腫れが少ない。
■ 挙筋法と比べ、術後に二重の幅が狭くなったり、元に戻ったりすることが起きにくい。
■ 挙筋法と違い、術後に眼瞼下垂になる心配がない。
■ 挙筋法と比べ、術後に埋没糸を取る必要がある場合に比較的取りやすい。
などです。
挙筋法を行っている美容外科クリニックのホームページを見ると、「瞼板法ではまぶたの裏に糸が出るが、挙筋法では糸が出ないため、挙筋法のほうが眼球に優しい」と書かれてあります。
確かに他院で行われている埋没法の瞼板法(俗に1点留めとか2点留めと呼ばれている方法)は、術後にまぶたの裏に糸が出ることになります。
しかし、当院で行っているクイック法は、1本の糸をループ状に留めて、点ではなく線で固定する方法であり、瞼板の裏に糸がそのまま出て残らないように1回瞼板の中に糸を通しています。そのため、瞼板法であるにもかかわらず、まぶたの裏に糸が出ることはなく、眼球に優しい方法なのです。
また、挙筋法は瞼板法に比べてデメリットもあります。それは、
■ 瞼板と違い、柔らかい挙筋に固定するため、固定力が弱く、糸が緩んで元に戻りやすい。
■ 瞼板を乗り越えて挙筋に固定するので、術後の二重の幅が予定より広くなったり、腫れが長引きやすい。
■ まぶたを開ける筋肉である上眼瞼挙筋を糸で締め付けるため、術後にまぶたが開けずらくなることがある(眼瞼下垂症状がでる)。
などです。
そして、挙筋法の最大のデメリットは、術後に埋没糸を取る必要がある場合に、糸を取るのが非常に困難だということです。
挙筋法は瞼板を乗り越えて、瞼板の奥にある上眼瞼挙筋に埋没糸を固定するため、埋没糸がかなりまぶたの奥のほうに埋め込まれることになります。
まぶたの皮膚に小さな針穴を開けて取る場合、埋没糸がかなり奥のほうにあるため、糸を引っ張り出せないことがあります。
また、小切開法や全切開法をするときに埋没糸を取る場合は、わざわざ眼窩隔膜を開けて上眼瞼挙筋を出して取らなければならないことが多く、それによって余分に腫れが出ることがあります。
埋没糸を取ることができないと、元に戻したいときに戻すことができないし、小切開法や全切開法をしたり、再度埋没法をして二重の幅を変えたい場合に前の埋没法のラインが邪魔になって綺麗なラインにならないことがあります。
施術直後の状態
これは施術後の安静室でまぶたを冷やしていただいた際に撮影したものですが、赤い点が2ヶ所わかると思います。
目を閉じ続けていると認識できますが、もちろん目をあけている状態ではわかりませんし、腫れは写真ではわからない程度です。
小切開法や全切開法による二重術であれば術後にサングラスで隠すことが必要になるかもしれませんが、埋没法での二重術を受けられ、顔を隠して帰宅するような必要はありません。
■ 埋没法は永遠か?
埋没法は永遠ではありません。
糸で留めるだけですので確かに糸が緩んでしまうことがあります。(糸が切れるようなことはまずありません)
糸が緩むと二重のラインが段々ぼやけてしまいます。(ある日急に一重に戻るようなこともありません)
永遠ではないと書きましたが、では埋没法を受けた人が将来において必ず一重に戻るかと問えばその確率は現実は1年で10%~20%でしょう。つまり大多数の人は仮に糸が緩んでしまったとしても、既に二重のラインが癖づいてしまっているようです。
瞼の分厚い方(腫れぼったい瞼の方)や二重のラインを高い位置(二重の幅を広く取った場合)にはこの10~20%に入ってしまう可能性が高くなります。その10~20%の人は残念ながら再手術をする必要がありますが、再手術を経ても再び糸が緩むことはあります。
よく、糸を3ヶ所、4ヶ所、時には6ヶ所も留めてしまう方法をされる方もいると聞きますが、若干の強化にはなるかもしれません。ですが、留める数を増やしたとしても元に戻る可能性は必ずあります。逆に糸の留める数を増やしたことによって違和感、異物感を感じることもあります。
手術時の腫れも箇所が増えると大きくなりますので「できる限り腫れが少なく自然に」という埋没法の趣旨とは離れていってしまいます。
その場合は埋没法は諦め、小切開法や全切開法での重瞼術を検討していただくことになります。
腫れが構わないのであれば何点も留めてしまうより、小切開や全切開の方が安心できるのではないでしょうか。
症例のご紹介
■ 4点留め
20代前半の女性です。
上まぶたの脂肪が多いため、4点留めにて手術を行っています。
手術直後の状態ですので、まぶたの腫れがありますが、3日から1週間も経てば落ち着きます。
■ 4点留め
20代半ばの女性です。
二重にするラインをきれいにするため、4点留めにて手術を行っています。
この写真は手術1週間後の状態です。腫れも落ち着いてるのがお分かりいただけるかと思います。